アレルギーの診察はけっこうおもしろい。アトピー性皮膚炎などはとくにそうだ。かゆいか ら、ついつい、ひっかいてしまう。その症状は大人も子どもも似たりよったりだが、「なぜこ んなに悪化したのか」という話になると、百人百通りのストーリーがあるからだ。
「昨日、お風呂のあとこの子が全身をかゆがって、天変だったんです。咳も出だし」
「えっ、咳が出たって? お母さん、それはアレルギーのショックかもしれないよ。この子は 牛乳アレルギーだったよね。何か変わったもの食べさせた?」
「いいえ、いつもと同じです」「すると、お風呂があやしいね」
「そういえば、昨夜、パパが知人のお葬式に参列しまして。会葬御礼にいただいた入浴剤を使 いましたが……」
「それ、牛乳成分が入っていなかった?」
「アーツ、それです!どうして気がつかなかったのかしら」
こういった患者さんとの会話がぼくは好きである。
アレルギーを攻略するには、免疫の仕組みがどうのこうのという教科書的な医学知識はまっ たく役に立たない。そんなことより、「こんなふうに考え、こんなことをしたら解決できた」 という実践的な知識と、それをどう解釈したかという筋の通った考え方こそが役に立つのだ と思う。
私がこのサイトを、「読むアレルギーの薬」というつもりで書いた。だから、患者さんの個人 的なエピソードやちょっとした裏話も紹介した。中には、「暴言?」と受け取られるような発 言も少しあるかもしれないが、ほんとうに役立つ知識を伝えたい……と思ってのこと。おもし ろ半分で書いた話はひとつもない。
色々な経験の中でぽくが知り得た「おもしろい事実」や「役に立つ発見」をみなさんにも ぜひ伝えたい! これが私の願いである。
かゆい、鼻水が出る、息苦しい。アレルギー症状とは、ひたすら迷惑なものだ。
「体質だからしかたないよ」なんて無責任な態度ではすまされない。絶対あきらめないぞ、一 日も早く治してあげようとがんばってきて、最近ようやく「なんだ、アレルギーってけっこう 扱いやすい病気じやないか」と思えるようになってきた。
アレルギーをあきらめるのは間違いだし、むやみにこわがるほどのものでもない。
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